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Vino Rosso

はじめてのデートで彼とあたしは2本のワインを空けた。

お酒が進むということは、会話が弾んでいたということだ。

彼はあたしの足元が危ういと笑い、当たり前のように手を取って、家まで送ると言った。

治安の良いこの街で、女のひとり歩きがそれほど危険なはずもなくて、部屋を見てみたい、なんていうのも馬鹿げた口実で、何もしないよ、って言う男が何もしなかったためしはなくて、それがわからないほど酔っていた訳でもなかった。
 あたしが思いだしていたのは、下らない女性誌の恋愛特集。

・最初のデートで寝てしまうなんて安い真似をしてはいけない

・でも、この人だって燃え上がったらそれはそれでアリ



……結局何でもアリなわけで、そんな頭の悪いことしか書いていないからあたしは女性誌が嫌いだ。



彼の技巧はあたし好みで、暗がりでぼんやりと見あげた彼の顔は、昔の男にどこか似ていた。

でも、腕は彼のが上だわ、と、あたしは幸福な苦痛に眉を寄せた。



朝の電車で彼と別れて、その日は一日じゅう熱に浮かされたようにふわふわと過ごして、それがどうしてなのか、考えていた。

彼のことが好き。それは、自分に自信を持っている彼が素敵だから。ルックスも悪くない。会話も楽しく続いていた。体も良かったしね。

体も良かったしね。

体も……

でもそれで次の日まで余韻を引きずっているだなんて、自分のことをそんなふしだらな女だとは思いたくなかった。

そして、彼にもそれだけの女と思われたくはなかった。

でも、自信がなかった。

あたしのどこかに彼を惹きつける魅力はあるだろうか?綺麗なわけでも、気の利いたことを言えるわけでもないあたしに?

穴が開いているという以外、あたしに何があるだろう。



二度目のデートでも、やっぱりあたしたちはワインを飲んで、今度は言い訳することもなくベッドへともつれ込んだ。

悦びで肌が熱くなり、その一方、不安で胸の奥がつめたくなっていった。奇妙な感覚だった。

彼はそんなあたしの内面に気づくはずもなく、甘美なる感覚に溺れていた。正気を失った男の眼の色は悪くない。

「ねえ、」

あたしはどうしても抑えることができず、彼の下になったまま小さく呼びかけた。

「え?」

彼は動きを止めない。

「あたしのどこが好き?」

彼はやっぱり動きを止めずに、微笑んだ。

「可愛いから」

「そんなんじゃなくて……」

真剣に抗議したかったけれど、攻められながらまともに口が利けるわけもなかった。不穏な空気を感じたのか、彼は動きを止め、あたしの方に顔を寄せた。

「だってあたしのこと良く知らないでしょ?」

「ここは、」

と、彼はあたしの額に軽くキスした。

「たぶん3割くらいしか知らない。でも、」

そう言って彼はあたしの眼を見て、奥を突いた。

「こっちはだいたい把握したよ」

なんて下品な、でも抗うことができない、なれば、これが進むべき道なのか?

下らない女性誌が下らない恋愛特集のなかに必ず入れ込むセックスの小特集、そこに「体からはじまる恋はアリ?」と書かれていたら、こう言ってやろう。

FUCK YEAH!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



※これはフィクションです


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