ブロークン・ブリテンのこどもたち

 Yahooニュースなどの記事でかねてから面白いと思っていた、ブレイディみかこさんの著書を読んだ。

 

 この本は、英国、そして世界で広がる格差、貧困の問題について、「底辺託児所」に通う子どもたち、その親、そこで働く人々などを通して描いている。堅く暗い話題だけれど、トレインスポッティング的おかしみもあって、すらすらと読める。みかこさんが「パンクな保育士」であるからなのだろう。

 

 みかこさんは96年から英国暮らし。生活保護で暮らす「アンダークラス」(既存の階級のさらに下)の子どもたちを預かる無料託児所で働くうちに、政治への関心を持つようになった。

 

 最初は、アンダークラスの人々がなぜ画一的に堕ちていくのか理解できなかったのが、だんだん見えてきたという。人間は「希望」を与えられずに生活保護で「飼われる」と、アルコール・ドラッグ・暴力・弱者(移民など)への八つ当たりなどへ流れてしまうらしい。サッチャーもブレアも、ドラッグディーラーのように無職者に生活保護を与え、麻痺させて黙らせた。そうした社会が作り出した階級がアンダークラスなのだ。

 

 英国では2010年に政権を握った保守党が緊縮財政政策をとり、福祉・教育・医療への財政支出を大きく削減し、2011年にその影響が庶民の生活に出始めた。みかこさんは2008年に「底辺託児所」でボランティアとして働き始め、2010年頃一旦そこを離れてミドルクラスの子どもたちが通う保育園に有給で勤めたのち、また2015年に戻ってきた。空白の4年間のあいだに、託児所とその本体である無職者・低所得者支援センターは激変していた。かつては貧しくカオスでブロークン・ブリテン(アンダークラスのモラル崩壊が英国の社会問題を引き起こしているとされた)を体現しながらも、白人下層階級やインテリ・ヒッピー、移民らが「下側の者たち」としてなんとなく共生していた。それがブレグジットなどを経て、いまは分裂してしまっているのだという。

 

 英国に限らず、米国でもトランプ大統領が誕生したり、世界中で「エスタブリッシュと民衆の乖離」が指摘されている。

 

 みかこさんや私が憧れた英国には、階級は厳然として存在していたけれど、ロックスターやサッカー選手になら下層からでも成り上がることができ、貧しさから抜け出す手段といわれていた。ところが近年では、そういった芸術・スポーツ分野までも、高額な学費を払ってそれらを学んだミドルクラス出身者に独占されるようになったという。教育の予算が削られた結果、これまで無償や格安だった学費が高額になり、下層の階級から抜け出すことが困難になってしまったためだ。

 

 英国ほどではないにしても、日本でも格差は広がっているし、これまでだって日本は英国ほど手厚く教育を支援してきたわけでもない。子どもが希望を持てずして、どんな未来が国にあるというのか??

 

 

 以下は気になった言葉たち(引用)。

 

英国には底辺を底辺として放置させてはいけないと立ち上がる人が必ずいる。地べたで何かをしようとする優れた人々が出てくるのだ。資本主義社会にあっては、優れた能力や経験を持つ人は、それを活かして相応の報酬を受け取れる方向に進むのが通常ではないか。しかしこの国にはそれに逆行するかのような人々がいて、底辺付近のコミュニティに行くと、「なんでこんな人がこんなところに」という人々が働いている。

 

障害を持つ人間は何かの分野で極端に秀でた人が多いという。
何らかの才能は明らかに持っているが、障害やメンタルヘルス上の問題などによってそれを社会で換金することのできないおばさんたちが、無職者・低所得者支援センターにはけっこういる。
「力のある人を世の中は放っておかない」とはいえ、「力」というものの中には、きっと実際の作業をする能力というのはあまり含まれておらず、自己プロモやネットワーキングを行う手腕といった「作業換金力」が八○パーセントから九○パーセントなのだろう。
英国社会の底辺には無数のスーザン(ボイル)たちが存在している。​


CIA洗脳実験室

 CIAによる洗脳実験の実験台とされた患者の息子が書いた本。

 

 本編もさることながら、訳者である苫米地英人氏によるまえがき、あとがきが面白い。

 曰く、

 

●オウムについて

著者の父親が入院した病院がCIAの洗脳実験に利用されたように、オウム真理教がなにかに利用されていた大きな実験場であったことは、今でもあまり知られていない。


オウムにおける洗脳テクニックは、たんに麻原が信者をコントロールする方法として利用していただけではなく、麻原自身がLSDによって人格崩壊したことを考え合わせても、オウムのサティアンが一つの洗脳実験室であったような、オウム全体が、キャメロン(引用者注:CIAの洗脳実験を行っていた精神科医)の運営していたカナダの病院であり、信者一人一人が実験台にされた患者であったような印象も受ける。

 

アメリカでは、究極の洗脳薬とされるLSDを使ってバッド・トリップさせ、地獄を見せると、どんなに意志の強い人間でも子どものようになってしまうことが知られている。オウムは、明らかにその情報をどこからか仕入れ、応用したのではないか。

 

●テレビについて

CMと番組を分けるというこれまでの編集権の独立には意味があった。この形式であればCMになると視聴者は臨場感を下げて、テレビの臨場感空間に距離をとる。そして当たりまえだが、CMだとわかっているから、商品をクリティカルな目で見ることができる。だから広告効果は下がるけれど洗脳もされにくくなる。これが正しい広告のあり方だ。

 

ところが広告を番組の中に入れてしまうと、視聴者は番組の臨場感の中で見るから広告効果が上がり、サブリミナルとなる。視聴者はクリティカルになれず、全面的に無意識で洗脳されやすくなる。

 

●インターネットについて

現在、姿を偽った洗脳の象徴はインターネットの検索サイト・グーグルであり、アメリカ合衆国だ。

 

インターネットは、テレビほどの影響力を持たないにせよ、編集権の独立というメディアとして基本的なルールを満たそうともしない。マスメディアとして見るなら最悪のメディアである。利用するときは、このことを必ず念頭におき、インターネットは必要な情報を得るためだけに使うこと。

 

 

 翻訳者/仕事で文章を扱う者として感じたのは、苫米地氏の文章が大変わかりやすいということ。ものすごく頭が良いからなんだろう。美しくても読みにくい文章ってあるけれど、そういうところが微塵もない。


原子力戦争の犬たち

 死体写真で知られる釣崎氏が、福島第一原発に作業員として潜入した記録。

 

 個人的には原発には反対だけど、動き始めてしまったもの、事故を起こしてしまったものに対しては「反対」と言ってもどうしようもない。賛成であれ、反対であれ、今ここにある問題には対応するしかない。どんな思想を持っていようと、あるいは何の思想も持っていなかろうとも、現場で対応されている作業員の方々には無条件に感謝である。

 

 現場にいない私たちは、食品や土壌、海の放射性物質汚染や、原発再稼働に関するニュースなどに接するたび、いろいろな思いを持つわけだけれど、現場ではそういった原発世論とはまた全然違った世界が展開している。(以下引用)

 

(ゴールドラッシュならぬ)放射能ラッシュの浜通りに一攫千金を目論む野心家や夢追い人、流浪の民や逃亡犯、異なる目的を秘めた殺し屋、戦争の犬たち、ならず者どもが己の男を試さんと世界中から群れ集まる熱狂

 

1Fはエネルギー放射で世界中のカルトやサイコをその磁場へ導引し、捕え続ける本尊

 

(反原発活動家の)糾弾論法とはこうだ。東電は一貫して原発は安全だと説明し続けてきた。原発が安全だというのなら安全対策は不要のはずだ。安全対策が必要なら原発は安全ではなかったということになる。安全でない原発はいらない。

恐るべきことに左翼は原発の危険を訴えながら、原発の安全性を高める事業をやるなというのだ。そして彼らの狂った目論見通りに事業は遅延し、東電側は座して何の対策も取らないわけに行かないので当座可能な限りの場当たり的対応を取り続けざるを得ない。

 

3.11。あれ以来我々は荒れ地と化した祖国を修復中だ。(中略)

となれば1F義勇軍に志願せずしてどうする。

(中略)「この退屈な国」を飛び出して、イスラム教徒でもないのに軽い乗りで改宗し、陳腐なユートピア幻想を追って「イスラム国」へのリクルートを目指すなど愚の骨頂である。

我々日本人には我々の戦争がある。甘い現実認識と軽薄な理想主義でシリアやイラクへ自分探しの旅に出ている場合か。

(引用終わり)

 

 高線量エリアでは人間の立ち入りが危険なため、遠隔操作のロボットが作業をしている。が、ロボットが瓦礫にスタックして動けなくなってしまったり、繊細な動きができない(瓦礫を掴めないなど)といった問題が発生すると、人間が「特攻」してロボットを介助するという。シュールで矛盾に満ち、でもやるしかない現場。

 

 繰り返しになるけど、作業員の皆さんには感謝しかない。

 

 


ギケイキ

 久しぶりに小説を読んだ。

 

 『ギケイキ』は、室町時代の古典『義経紀』を下敷きとした時代物。千年の時を経て現代に生き続ける義経の魂が語るという設定。現代の(ある種卑俗な)言葉を交えて語られることで、情景がいきいきとリアルに感じられる。

 

 古語で記されたお話は、なんとなく別世界の話のように感じられてしまうのだけど、このように現代の言葉や風俗を織り込んで噛み砕かれることで、今現在でも起こりうる人間模様のように、すんなりと頭に入ってくる。史上の出来事として捉えていた戦乱が、人間臭いドラマとして展開していく。

 

 笑いあり、血沸きたつ戦いありの素晴らしい娯楽作品であり、そんな中に

 

あの頃、私たちに「日常」なんてなかったのだ。暴力、そして謀略。これをバランスよく用いなければ政治的に殺された。だからみんな死んだんだよ。私も死んだんだよ。

っていうか、いろんなマイルドなもので擬装されてわかんなくなってるけど私から見ればそれはいまも変わらない。っていうか、擬装されてわかんない分、いまの方がやばいかも知れない。謀略がいよよ激しいのかも知れない。知らない間に精神的に殺されてゾンビみたいになってる。奴隷にされているのに気がつかないで自分は勝ち組だと思ってる。おほほ、いい時代だね。

 

なんて言葉があったりもして。

 

 読み進むのがとても楽しかった。三部作になるらしいので、この先も楽しみ!


メルガレホ フラントイオ EXVオリーブオイル

OLIVE JAPAN受賞オイル第三弾。

 

「青りんごや新鮮な草の香り、スパイシーでほろ苦い」という説明がとてもよくあてはまっている。スパイシーなところはゴヤと似ているけど、青臭い感じはあまりしない。「青りんごや新鮮な草」は、グリーンというよりフルーティーな甘みとして感じられているのかな?

 

あと、注ぎ口がどばっと出ないつくりになっているので、うっかり出しすぎる失敗が防げそう。

 

これまで試した3種のなかでいちばん好きかも!


ラーレリ EVオリーブオイルOG

OLIVE JAPAN受賞オイル第2弾。

 

このオイルは、またまた受賞オイルの中からお手頃なものを探していて見つけたんだけど、何だか見覚えあるような感じがしていた。

 

オイルと一緒に石鹸も買おうとしていて、前に買ってとても良かったものを再度注文しようとしたら、オイルと同じメーカーだった!

 

食用だけではなく、お風呂で使う石鹸の原料としてもオリーブオイルが好きで(しっとりしているから)、泡立ちもきめ細かく、香りもいい!とラベルを保存しておいた石鹸があって、それがラーレリ。食用にも化粧用にも良いオイルを作っている会社だったんだね。(ちなみに、オイルはそこそこの価格だけど、石鹸は全然高くない。)

 

お味は、ピリッとした辛味が少なく、まろやかな感じ。緑色もさほど濃くない。

 

 

顔を描くようになってきた2歳児。


テレタビーズで英語

天気が悪くて外遊びできないときなどに欠かせない、知育DVD。

日本語のものはテレビで十分だと思い、買うのは英語のものにしている。

 

 セサミストリート、ディズニーに続き、私自身が大好きだったテレタビーズも購入!

 

 若かりし日、おうちアフターアワーズで観ていたゆるゆる&ドラッギーなタビーズ。

 夜遊び後のぼんやり頭に、あの独特な世界観がとても気持ちよかった。

 しかしこどもの頭のなかは、常にあんな感じなんだよね。

 

 教材としては、どうなんだろう?

 はるちゃんは夢中で観ているので、いいんじゃないでしょうか。

 情報量が多すぎず、単純でわかりやすい。

 (セサミは早口でいっぱい喋るので、英語シャワーにはいいけど、低年齢では全部把握できないかも)

 

きゅうりうまし!

 


オリーブオイル

 本物オリーブオイルを食べてみる、ということで、OLIVE JAPAN受賞オイルを探して買ってみた。

 

 スーパーで普通に売っているものと比べたら高いけれど、受賞オイルとしてはかなりお手頃。こだわり抜いて作られた宝石のような高級オイルはきっと素晴らしい味がするのだろうけど、庶民が毎日使うものとしては現実的ではない。このくらいの価格なら、サプリや病気になってからかかる薬代の代わりと思えば、出せないこともないのでは。

 

 『そのオリーブオイルは偽物です』のなかにあった

 

「スーパーマーケットオイルの王者」とは、実はわたしが勝手に名付けたものですが、スペインのある会社(G社とでもしておきましょう)は販売先を大手の量販店に定め、自分では畑を持たず、もっぱら高品質な製品を作る複数の生産者から契約で直接オリーブオイルを買い取り、自分のブランドで販売しています。G社にオイルを売る高品質生産者にとっても、自社ブランドでの販売力が足りず、オイルを売り残してしまうリスクを回避でき、また超高品質ではないロットの販売先としてもこの会社がちょうど良い販路となって双方にメリットを提供します。いわば需要と品質の調節弁をG社が果たしているわけですが、調達先が優れた生産者のため、G社のオリーブオイルも毎年世界の品評会で賞を受賞しています。

 

という記述の「G社」とはこのゴヤではないのかな?なんて気がしている。あくまでも私個人の推測に過ぎませんが。

 

 お味は、グリーンでスパイシー。このちょっと苦かったり辛かったりする味わいは、ポリフェノールが多く含まれる証らしい。オリーブの品種はいろいろなものがブレンドされているそう。美味しいです時々ウインクペコちゃん

 

早朝の朱鞠内湖(日本最寒の地)

 

 


本物オリーブオイルを探して

オリーブオイルは偽装が多く、本物を見つけるのは難しいらしい。。ということで、本物探しのガイドとして購入した本。

 

 政府の認証さえもあてにならないという絶望的な状況で、ラベルでも価格でもオイルの質は判断できず、結局は人の官能に頼るしかないみたい。

 

 それこそ、著者の主催する日本オリーブオイルソムリエ協会で勉強してみたい!

 

 まあそれもなかなかすぐには実現できなそうなので、まずは巻末のOLIVE JAPAN 2015受賞オイルリストを参考に、本物の味を勉強してみようかな。

 


オリーブオイルの世界

 これまで常識とされてきた「植物油=ヘルシー」「動物性脂肪=悪」というイメージは真逆であるらしいとわかってきた。オリーブオイルも例外ではなく、キャノーラ油などよりはずっとましとしても、発がん・脳出血促進作用があるという。(『本当は危ない植物油』(奥山治美)より)

 とは言っても、オリーブオイルなしに私の料理は成りたたない。少しでもよいものを選ぶにはどうしたら?ってことで、この本。

 何件かのレビューにあったけど、この本はそういう実用的なガイドというよりは、オリーブ(オイル)と人間との関わりを、ややもすると詩的に描いたりもする本だった。良質なオイルを選ぶための指針も書かれてはいるんだけど、オリーブオイルの歴史などに割かれているページ数のほうがずっと多い。で、それが面白かった。

 オリーブオイルに限らないけれど、業界には不正が横行していて、「エキストラバージン」という言葉から想像されるような、混じりけのない良質のオイルには滅多にお目にかかれないのだという。誠実に作れば価格は高くならざるを得ず、質の悪さを脱臭・着色・混ぜものなどでごまかした安物とは勝負にならない。それでも信念を持って取り組んでいる生産者もいて、私が共感したのはカリフォルニアのマイク・マディソン氏。

”ホームページもなければ、配送もせず、宣伝もせず、電話さえも引いていない。オイルの大半は近くの青空広場で適切な価格で売り、売れ残ったものは生活困窮者を支援している地元のフードバンクに寄贈している。

「私がオイルの価格を低く設定しているのは、人々に好きなだけ使ってほしいと思うからだ。私は、作物や製品の大部分をつくった場所から半径30キロ以内でしか売らない。このスタイルは18世紀のやり方だね。あの時代には、売り手も買い手も相手が何を望んでいるかよく知っていた。一方、今私たちが買うほぼすべてのものは、知らない人がつくったものだ。豪華な瓶に美しくデザインしたラベルを貼ってアピールし、広告・宣伝にお金をかけ、いくつもの賞を取って売りてに訴えようとする。だが知っている人に売るのであれば、そんなものはいっさいいらない」”

 21世紀の今、18世紀とは違ったかたちの商売もあって然るべきだけど、こと食品に関しては、こういうスタイルがいいと思うなぁ。


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